ネット上でお酒を販売するための免許 通信販売酒類小売業免許について解説

ネット上でお酒を販売するための免許 通信販売酒類小売業免許について解説

酒類販売業免許は、販売するお酒の種類、販売方法、販売先などによって、様々な種類に分類されます。


中でも、主にインターネットを用いてお酒の販売を行いたい場合、通信販売酒類小売業免許を取得する必要があります。

本記事では、通信販売酒類小売業免許の特徴などを他の酒類販売業免許と比較しながら解説していきます。



・通信販売酒類小売業免許の定義


以下、通信販売酒類小売業免許の手引より、免許の定義を引用します。


2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として、商品の内容、販売価格その他の条件をインターネット、

カタログの送付等により提示し、郵便、電話その他の通信手段により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う販売


こちらの定義を細かく確認すると、


①2都道府県以上の範囲に販売すること

②商品の内容や価格等をインターネット、カタログの送付等によって行う

③郵便、電話その他の通信手段により売買契約の申し込みを受ける


という条件がポイントとなります。


免許申請を進める前に、これらの条件に該当しているか確認し、

取得すべき免許の種類を見極める必要がございます。


例えば、主に店頭でお酒を販売する業態であり、ネットの方でもお酒の販売をするという場合に、

2都道府県以上の範囲に販売しないのであれば一般酒類小売業免許のみで行うことが可能です。



・通信販売酒類小売業免許を取得するための要件


❶人的要件、❷場所的要件、❸経営基礎要件、❹需給調整要件

の4つに分けられます。



❶人的要件

過去に酒税法や刑法等に違反し処罰を受けて一定期間経過していなかったり、

酒税法で定める欠格事由に該当する場合は免許取得ができません。

例としては以下のようなものが挙げられます。

①未成年である

②酒販免許の取り消し処分を受けてから3年が経過していない

③免許の申請前2年以内に、国税または地方税の滞納処分を受けている

④禁固以上の刑に処せられ、刑の執行が終わった日から3年を経過していない



❷場所的要件

正当な理由がないのに取り締まり上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないことが要件となります。

「不適当と認められる場所」と聞いて、小学校の近くはダメ、といったようなことを

イメージされる方も居られるかもしれませんが、そうではなく、

独立した場所として使用できるか否かがポイントとなります。


例えば、他の営業主体が行っている店舗の一部を間借りして、販売場とする場合には、

明確に区分された独立した場所とは認められません。


また、賃貸マンション等の1室を販売場とする場合には、

所有者・貸主より承諾書を取得する必要があります。


これらの要件がクリアできるかどうかも重要となります。



❸経営基礎要件

お酒の販売について経営者となるにあたり、

申請者がどのような経歴を持っているのかと、資産はどれくらいあるのかを確認されます。

つまり、「経験」と「お金」の2つの視点から判断がされます。


「経験」

経験その他から判断し、適正に酒類の販売業を経営するに十分な知識及び能力を

有すると認められる必要があります。また、法人の場合この要件については

取締役全員の経験で総合的に判断がされます。


経営経験としては、事業を経営したことがあるかどうか、

個人事業主として1期でも確定申告をしたことがあるかどうか、等が問われます。

また酒類業界についての経験としてできるだけ多く、

過去にお酒に関する販売業に従事したことを申告しましょう。


※実は一般酒類小売業免許と違い、通信販売酒類小売業免許では

 「3年以上の酒類の販売業に従事した経験」は、必須要件ではありません。

 しかし、酒類販売管理研修の受講は必須要件となります。


「お金」

酒類を継続的に販売するために必要な資金や、販売の為の設備を有することが必要となります。

金額として明確な基準は、実は存在していません。

展開する酒販ビジネスの規模により審査基準も異なるため、

仕入数量の多くないビジネスとして展開する場合は、そこまでの資金は求められないということになります。



❹需給調整要件

通信販売酒類小売業免許の場合、取り扱うことができる酒類に制限があります。


国産酒の場合年間の課税移出数量(出荷量のこと)が3,000KLを超える酒類製造者の酒類は、

インターネットで販売することができません。

そして、 販売したい酒類ごとに年間の課税移出数量が3,000KLを超えないことを証明する証書を

メーカーから入手する必要があります。


輸入酒の場合販売する酒類の課税移出数量も品目も問われません。


よって、免許取得前に、販売しようとする酒類が国産酒か輸入酒か、国産酒の場合、

3000KL証明書のやり取りをメーカーとすることができるのか、

事前に確認する必要があります。



●まとめ

酒類販売業免許は要件が複雑なうえ、免許自体の種類も細かく分かれてしまっていることから、

手引を一目見ただけで分かりにくい項目が多いです。


しかし、通信販売酒類小売業免許は、「3年以上の酒類の販売業に従事した経験」が必須要件ではないことや、

ビジネスの規模が大きくない場合は、資金としても多く求められないことから、

取得のためのハードルはかなり低いと言えるでしょう。


当事務所では、お酒に関するご相談を無料かつ全国対応しておりますので、

ご不明な点がありましたら当事務所へお気軽にお問い合わせください。

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